科学の発展に伴い試合中のスピードやレベルが昔より上がっている現代のサッカー。その試合をコントロールするためにピッチ上には基本的に主審と副審2人の3人がいます。しかし、試合の展開が早くなるにつれて、審判のジャッジにもより高い精度が求められ、審判たちの心身的な負担も増えていきます。その結果、誤審が増えて試合の質が損なわれることに繋がることになります。
そこで主審をサポートするために競技規則では追加副審と呼ばれる審判を配置することができます。
追加副審の役割
追加副審はゴール横のラインに位置します。そこから試合を見て、特にペナルティエリア内での
事象について目を光らせます。得点を中心に試合の展開を左右する事象が起きるのはペナルティエリアの中が一番多いからです。
追加審判は以下のことに対して役割があります。
- 得点を含め、ボールの全体が、ゴールラインを超えたかどうか
- どちらのチームがゴールキックやコーナーキックを行うのか
- ペナルティキックの時、ボールがけられる前にキーパーがゴールラインを離れたかどうか。またボールがゴールラインを超えたかどうか
追加副審はこれらの事象が起きた時に主審に合図ができます。その方法は一部の場合を除き、無線に限られます。唯一、手で合図をすることができるのは、ボールがゴールラインを超えたかどうか際どい時に合図をします。手での合図の意味は試合前に審判団の中で理解を一致させる必要があります。
また、追加副審は先ほどの試合中の役割の他に、試合を運営するために必要なこともサポートできます。
- ピッチおよび、試合で使われるボールと選手の用具の点検
- 時間、得点および不正行為を予備的に記録する
これらのことを他の審判たちと協力して行います。2つ目は予備的に試合記録を取り、試合後に主審と確認することで公式記録での記入ミスを防ぎます。
追加副審を配置することのメリット、デメリット
メリット
- 主審、副審、追加副審と3方向からペナルティエリア内での事象についてジャッジすることで誤審を防ぐ
- 追加副審がペナルティエリ内でのプレーを見れるので副審がオフサイドの事象に集中しやすい
- VAR同様、監視の眼が増えるので審判を欺くプレー(反則)が減る
デメリット
- 追加副審を要請するのに人件費がかかる
- 日本では審判員の不足が問題であり、他の審判員の負担が増える
VARとの比較
現在のサッカーで得点が入ったかどうか、ペナルティエリア内でのファールかどうかなど、微妙な場面ではVARで試合を止めて確認することが主流になっています。しかし、主審が映像で確認するためにどうしても試合は中断してしまいます。追加副審の導入する大きな目的は、ペナルティエリア内で起きる事象についてのジャッジ精度の向上およびボールが完全にゴールラインを超えたかどうかの見極めになります。バスケや野球と比べると得点が入りにくいスポーツであるサッカーは、1点が重要になってきます。なので得点については慎重にジャッジする必要があります。しかし、VAR導入前のように審判たちのジャッジに全てを任すことができれば、スムーズに試合が進行されていくはずです。選手、監督、サポーターたちが試合中に待たされるという不思議な光景も少なくなるはずです
VARでは得点が入った時、その前のシーンで問題がなかったかを映像で確認します。以前にACL(アジアチャンピオンズリーグ)で得点前の10秒ほど前までさかのぼり、そのプレーがファールということで得点が取り消されることがありました。VARは誤審を防ぐという非常に便利な側面がありますが、頼りすぎることで今までのサッカーのあり方を変えていく、もしかしたら壊す可能性もあります。
今回は追加副審の役割やVARとの比較について説明しました。個人的な意見になりますが、人員不足という問題はありますが、VAR導入に莫大な予算をかけるのならばそのお金で審判員の育成に力を入れるべきだったと考えます。人が行うスポーツを人がジャッジする昔から続く流れを尊重したいためです。なぜなら誤審は問題だけれども、誤審もスポーツの一部だと思うからです。しかし、追加副審を導入することで得点シーンでの誤審は減るのは間違い無いです。