サッカーはプレー環境や選手、チームなど様々な要素が組み合わさって完成している。あまり気にしたことはないかもしれないが、競技者の『用具』もサッカーをする上で重要な役割をはたしている。JFA(日本サッカー協会)のサッカー競技規則の第4条には、競技者の用具について定められている。
では、一体サッカーにおける競技者の用具の定めとはどんなものだろうか?
競技者の用具規定
競技者は、自己もしくは他の競技者に危害を加えるような用具を使用してはならず、その上で基本的な用具として、以下のものは着用しなければならないと定められている。
- シャツ
- ショーツ
- ソックス
- すね当て
- シューズ
基本的なことかもしれないが、しっかりと規定がある。ちなみに、シャツとパンツが一体となっている物は禁止されている。ユニフォームに関しても相手チーム、審判と区別の付く物の着用が定められている。※ここでいうシャツ、ショーツとはユニホームの上下にあたる。
すね当てに関しては、以下の規定が定められている。
- すね当てはソックスで完全に覆われていること
- ゴムやプラスティック、それと類似した素材で作られていること
- しっかりとすねを保護できること
すね当てには、シンガードやレガースなど呼称はいくつかあるが、どれも同じものを指している。どんな強靭な人でも「弁慶の泣きどころ」はしっかりと守る必要があるという事だ。
ゴールキーパーにおいては、他の競技者や審判と区別がつくシャツ、ショーツを着用すること。また、長ズボンの着用やキーパーグローブの着用も認められている。
装飾品や用具の装着
2006年のドイツワールドカップを機に、腕時計・指輪・ネックレス・ブレスレット・ピアス等の、金属製の装飾品の着用が厳しく制限されるようになった。入場前に審判員が選手の指や体を確認して、金属製の装飾品の類が身につけられていないかチェックしている。
フェイスマスクや医療器具においては、危険性がないと判断されれば、着用が可能となっている。
フェイスマスクと聞いて思い出すのが、日韓ワールドカップの宮本恒靖ではないだろうか。彼は大会前に鼻骨を骨折して、医療器具として認められたフェイスマスクを着用して出場し、普段見慣れない姿で話題にもなった。
ヘッドギアや膝、腕のプロテクターなど危険でない保護用具で、柔らかい物、軽いパット素材でできているものは、ゴールキーパーの帽子やスポーツメガネ同様に認められる。
他にも、表面に突起物があるようなものは身に着けてはいけないなどの規則がある。
シャツの袖とアンダーシャツの規定変更
「シャツには袖がついていなければいけない。」
こちらも、日韓ワールドカップの出来事がきっかけで規則が定められた。カメルーン代表の選手が袖のないシャツを着用しようとしたために、追加決定されたものである。
冬の寒い時期の試合等でアンダーシャツを着用する場合は、シャツの主な色と同じにしなければならない。アンダーショーツ(スパッツ)を着用する場合は、同じくだ。
主な色と同じ色でないと違反となり、同系色は不可だ。このルールが定められる以前は、主な色ではなく、シャツもしくはショーツの裾の色と同じ色にしなければいけないと定められてた。
国際サッカー評議会の定め
競技者は、スローガンや広告のついているアンダーシャツを見せてはいけない。身につけなければいけない基本的な用具(先ほど紹介した5つ)には、政治的、宗教的、個人的なメッセージを入れてはいけない。
スローガンや広告を見せる為にジャージやシャツを脱いだ場合には、競技会の主催者に罰せられる。
身につけなければいけない基本的な用具に、政治的、宗教的、個人的なメッセージをつけた競技者のチームは、競技会の主催者もしくはFIFAに罰せられる。と世界サッカー評議会(IFAB)が定めている。
規定違反の罰則は?
では、これらの規則に違反をしたらどうなるのだろうか?罰則等があるのだろうか。
違反があった場合、下記のように定められている。
- プレーは停止されない
- 違反した競技者は、主審からフィールドを離れて用具を正すように指示される
- 用具を正していなければ、その競技者はボールがアウトオブプレーになったとき、フィールドから離れなければならない
- フィールドから離れた場合には、審判に用具点検を受けてから、復帰が認められる
- 主審の承認をうけて初めてフィールドに戻ることができる
プレー中に起こりえるのは、接触プレーなどを繰り返す中で、すね当てがソックスから見えてしまって、主審から直すように促されたりするものである。これを直すことをしなけば、上記のような対応がとられることになる。
基本的に用具に関しての違反があったとして、それを正すことができれば罰則等になることはない。注意促しといったところだ。
競技者の用具については、基本のようで実は知らない人も多い。是非これを機会に競技者の用具について見直してみてはどうだろうか。