今や試合当時に、会場入りする選手が乗っているバスをファン達が囲む風景は決して珍しくない。
選手のみならずに、審判団は試合当日の時にどんな流れで準備をしていて、どんな流れで1日を終えるのかを確認していきましょう。
試合会場入り
Jリーグの規定によると、審判団は試合開始時間の90分前には必ず現地に到着してなければなりません。Jリーグで審判を出来るのは日本サッカー協会登録の審判員かつ、Jリーグ規約第101条に定める登録を行った者だけです。
多くの審判団たちは試合開始前の2〜3時間前には現地入りして、準備を始めていきます。
当日のピッチ状況の確認
試合開始90分前に、審判団とマッチコミッショナーでピッチの確認を行います。マッチコミッショナーとは「試合会場の全ての出来事に関する監督であり、運営上の最終的な判断を行う責任ある立場」の最高責任者を指します。
ピッチ上の確認では、ゴールラインやサイドライン等がしっかり引かれているか、ゴールネットは破けてないか等、試合を円滑に行うために必要な事柄を確認します。
試合前のマッチミーティング
ピッチの確認が終わった試合開始の 70分前に、マッチコミッショナーを中心にミーティングを開きます。
マッチミーティングでは、両チームの監督や実行委員(クラブのGMであることが多い)、運営、審判団が参加します。参加者全員で当日の試合を作り上げるという意味も込めて、互いの自己紹介と挨拶から始まります。主に、当日のタイムスケジュール(何時までにウォーミングアップを切り上げて、何時までに整列しなければならないのかなど)や、細かい事柄(ピッチに水を撒くのか、給水タイムの有無など)を確認していきます。※現在は、新型コロナウイルスの影響でマッチコミッショナーが行うミーティングはJリーグの試合では行われていません。
マッチコミッショナーが終わった後に、審判団だけでのミーティングを行います。この審判団だけのミーティングはマッチミーティングの前に行う場合もあります。試合の予想される流れ、ファールをよくする選手の確認などを共有して、より円滑に試合を進行できるように話し合いをします。
審判ウォーミングアップ
一連のミーティングが終われば、審判団も選手同様にウォーミングアップを始めます。
すでに両チーム選手たちがウォーミングアップを開始しているので、審判団たちは基本的にハーフライン付近で行います。
主審は1試合の中で単調な動きでだけではなく、試合展開に合わせて色々な動きをする為、ストレッチや方向転換時のターンや、脈を上げるために早いペースで走ったりもします。
例えば、カウンターでボールを奪って一気にスピードをあげて攻撃に転換するシーンでは、主審も選手たちと一緒に走らなければなりません。追いつかず遠くにいて万が一ファールを見逃してはいけません。主審はその時に起きている現象に合わせて最適なポジションを取るためにサイドステップやバックステップなどを組み合わせて試合を観察しています。
一般的に、主審の1試合の走行距離が約13kmと言われ走行距離も長い上に、しっかり試合を裁かなくてはいけない冷静さも欠かせません。夏場の試合では稀に、主審が脚を攣り第4審判と交代する場面も見られます。
試合キックオフ直前
試合のキックオフに合わせて、事前に審判団及び、両チーム先発選手は準備を済ませて入場口に集合します。この時に審判団は各チームに提出してもらったメンバー表を見ながら選手の確認と用具のチェックを行います。
入場時間になると審判団を先頭にしてピッチに入場します。入場時間は、試合前のセレモニーの有無などで変動があります。主審と両チームキャプテンとでコイントスを行い、審判団および選手は各配置につきます。この時に副審たちは配置につく前に、自分が担当する場所に近いゴールネットの最終確認を行います。
試合終了後
試合が終了後は、両チーム選手がピッチを去った後に審判団も控室への戻ります。主審は記録員がつけていた試合の公式記録と、自身が試合中に記録した用紙と照らし合わします。不備が無いことを確認してから最終的なサインを行います。
ここまでが一連の流れとなります。その後は、審判団とマッチコミッショナーで試合での反省点などを共有しながら、次の試合に生かす為のミーティングを行います。最後に、審判報告書を作成し提出した後に、試合会場を後にします。(この審判報告書は後日にメールか郵送でも可の場合もあります)
試合当日は選手だけではなく、審判団も多くの準備をしてから試合に臨んでいることがわかります。多くの裏方の支えがあり、試合は開催されている事知るいい機会かもしれません。