【審判資格】日本サッカー協会の審判資格制度

 1998年に日本が初めてw杯に出場した以降、海外では多くの日本人選手が活躍するようになりました。国内ではJリーグが毎週末に開催され、多くのサポーターがスタジアムに駆けつけチームを応援しています。

 そんなサッカーの試合を開催する上で必ず必要となるのが「審判」です。

 最近では、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が話題になり、審判の活躍にも注目を集めるようになってきました。審判が下す判定で試合の流れが大きく変わり、新聞一面で取り上げるニュースになることもあります。

 日本サッカーにおける審判員制度について、歴史や種類、資格の取得方法などについて紐解いていきましょう。

審判資格制度について

 日本サッカー協会 (Japan Football Association =JFA、以下 JFA)では、審判資格を民間資格として認定し、JFAの「サッカー公認審判員」としています。現在、国内には28万人以上の審判員が登録されています。その中には国際大会で主審を務めることのできる審判員から、地方のサッカー協会主催の大会で審判員を務めることのできる資格などがあります。

 では、審判資格について細かく見ていきましょう。

審判資格制度の歴史

 JFAによる審判の登録制度は1999年4月から施行されています。これは、2002年に開催される日韓ワールドカップを控え、サッカーの審判に携わる環境を整備したことがきっかけになります。

審判資格の種類

 審判資格は、1級〜4級まであります。すべての審判員が4級から始まり、試合実績や筆記試験、実技試験が評価されて、階級が決まります。4級から1級まで昇級する為に必要な期間は、最低でも6年6ヶ月以上かかるといわれています。

 

  • 1級審判員

JFAが主催する試合を務めることのできる審判員

1級審判員数:224名

登録料:20,000円

受験資格:2級取得後、一定の実績を積んだ審判員だけが受験可能。各地域サッカー協会の推薦が必要。

 1級を保有している審判員は国内で登録されている審判員全体の約0. 1%しかいません。

 1級審判員は、Jリーグの試合で主審を務めることができ、1級審判員の中から特に優れた審判員は更なるフィールド拡大のため、代表戦やAFC大会、W杯など国際試合を担当することができる「国際審判員」として選定されます。JFAに優秀と判断された審判員は「PR(プロフェッショナルレフェリー)」として1年の年俸制で契約します。PRに選出されると国際大会の審判にも推薦されるようになります。

 

  • 女子1級審判員

JFAが主催する女子サッカー競技などの試合を務めることができる審判員

女子1級審判員数:50名

登録料:12,000円

受験資格:2級取得後一定の実績を積んだ女性審判員だけが受験可能。各地域サッカー協会の推薦が必要。

 

  • 2級審判員

地域サッカー協会が主催する試合を務めることのできる審判員

2級審判員数:3,705名

登録料:5,000円

受験資格:3級取得後一定の実績を積んだ審判員が受験可能。各都道府県サッカー協会の推薦が必要。

「東北サッカー協会」や「関東サッカー協会」など地域単位ごとの協会が主催する大会で審判を務めることができます。

 

  • 3級審判員

都道府県サッカー協会が主催する試合で務めることのできる審判員

3級審判員数:35,833名(一般:34,932名 U-18:835名 U-15:66名)

登録料:3,000円(18歳未満:1,000円)

受験資格:4級取得者で一定の実績のある審判員が受験可能。満15歳以上の男女。

審査内容:筆記テスト、体力テスト及び実技テスト(4級審判員としての実績を考慮)

「北海道サッカー協会」や「東京都サッカー協会」など都道府県ごとの協会が主催する大会で審判を務めることができます。

 

  • 4級審判員

市区町村サッカー協会が主催する試合で務めることのできる審判員

4級審判員数:241,313名(一般:139,095名 U-18:69,156名 U-15:33,062名)

登録料:2,500円(18歳未満:500円)

受験資格:満12際以上で心身ともに、健康な男女

都道府県のサッカー協会傘下の協会・連盟・団体などが主催する大会で審判を務めることができます。

※4級審判員で特に優れていると都道府県サッカー協会の審判委員会が認めた審判員については、都道府県サッカー協会主催するサッカー競技の試合を担当することができます。

資格の取得

 審判の資格を取得する際には、まず「JFA ID」の取得が必須となります。JFA ID取得は、JFAが運営する「KICK OFF」というサイトからできます。

 審判資格の取得は、誰しもが4級からのスタートとなり、4級の資格には「認定講習会」の出席が必要となります。「認定講習会」の登録も「KICK OFF」からできるので、合わせて申込までしましょう。

 認定講習会は各都道府県のサッカー協会が主催しています。協会によって認定講習会の開催頻度や時期が異なりますので、チェックしてみましょう。講習会の内容は、競技規則の解説を中心とした講義と、主審、副審のポジショニング、笛の吹き方、フラッグの振り方といった基本的な動作を確認する実技があります。

 認定講習会後、合格者には「審判ワッペン」「RESPECTワッペン」「レフェリーノート」などが JFA ID に登録されている住所に直接送付されます。

第二審判登録制度

 所属する都道府県サッカー協会以外で審判活動を行うための登録制度です。

 都道府県サッカー協会が主催する試合で審判活動を行うための制度となり、3級審判員以下が対象となります。審判資格を更新するためには、現在所属している都道府県サッカー協会での手続きが必要となり、第二登録を行ったサッカー協会での審判資格更新はできません。

 第二審判登録をした都道府県サッカー協会で審判活動する際は、都道府県サッカー協会が発行する「第二審判登録 審判証」を携帯する必要があります。

地域サッカー協会ごとの審判人数規約

 各地域や都道府県のサッカー協会によっては、チームに何名以上の審判資格者を保有するといった規約がある地域もあります。サッカーのルールを正しく理解し、審判にもリスペクトの気持ちを持ってプレーできる選手を育成することが目的となっています。

資格の更新と失効

審判の資格はいずれも1年間となっています。

期間は「当該年4月1日~3月31日」と定められているため、翌年以降は更新しない限り失効となります。更新は、各地域のサッカー協会や都道府県のサッカー協会が主催する更新講習会を受講、もしくはJFAラーニング(3級審判員・4級審判員のみ対象)を受講し、翌年度審判登録料を支払うことで審判資格を更新することができます。

 審判資格を更新せずに更新期間が過ぎてしまった場合、原則失効となりますが、資格を復活する制度も協会ごとに設けていることがあります。不安な場合は、登録しているサッカー協会にお問い合わせください。

まとめ

 審判の活動をするには、まず「JFA ID」の発行が必要になります。4級審判の「認定講習会」へ参加することで、審判員としての活動を始めることができるので、必ず受講しましょう。

資格の有効期限は、いずれの級も「1年間」となっています。更新期間を逃すと失効となり、審判資格を失うことになりますので、注意しましょう。